コラム

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デジタルマーケティング指標の表現形態は簡単な時系列グラフしかないのか?その他の表現方法を考えてみた
  【文責】 松本 健太郎 事業企画室所属 マーケティングメトリックス研究所 所長 今回は、CVRやCTR、CPAなどデジタルマーケティング指標の「表現形態」について、考えてみたいと思います。 もっともメジャーな形態は時系列グラフ(折れ線グラフ)です。 多くの場面で使われていますが、ちょっとした弱点を抱えていることはあまり知られていません。まずは、その点についてお話をさせてください。 「単純」な時系列グラフの限界と弱点 とあるバーチャルな広告施策の過去2年分の実績がここにあります。クリック数、CV件数、そしてCVR。これらの時系列データで構成されています。 このデータから導き出せることは何でしょうか。 まず、多くの人が折れ線グラフを作成すると思います。時間毎の推移を見ることで、傾向が明らかにできます。 ちなみに日毎のCVRは以下のようになりました。   図1:2013年~2014年日毎CVR 特定の日にちだけ突出してCVRが高いことがわかります。しかし、わかるのはそれぐらいではないでしょうか。 例えば広告クリック後のCVの多くが日を跨いでいる場合、日単位のCVRにはあまり意味がありません。日毎CVRのみで傾向を把握するのは危険です。 そこで週毎、あるいは月毎のCVRグラフを表現するという方法が考えられます。 そうなると、今度は突出して多い日がわからなくなります。そもそも○毎のデータとは集計軸の中のデータの起伏を無くすための手法です。週毎で見るとなると、1週間の中のデータを起伏がならされてしまいます。 結局、日毎、週毎の折れ線グラフを見比べながら、仮説を構築していくことになります。 もしかしたら「この程度の時系列データではこんなもんだ」と思われていませんか? いえいえ、決してそんなことはありません。時系列データには様々なポテンシャルがあります。 年間最多安打記録を達成した2004年のイチローの成績から考える 時系列データのポテンシャルを知るために、野球の「数字の見せ方」を参考にしたいと思います。 2004年、イチローはMLB年間最多安打記録を破り、262安打という金字塔を打ち立てました。年間成績は704打席262安打24二塁打5三塁打8本塁打60打点、打率.372という成績でした。 彼のシーズンでの打率の推移を表現すると、以下のようになります。 図2:2004年シーズンの通算打率推移グラフ 80試合(6月)頃に落ち込み始めた打率も、夏以降に再び上昇し、その勢いのままシーズンを終えていることがわかります。 シーズンを通した好・不調を知るために、直近10試合での打率の推移を見てみましょう。以下のようになります。 図3:2004年シーズン直近10試合の打率推移グラフ 10打席で2本のヒットしか出なかった状態から、夏以降は10打席で6本もヒットを打つほどに調子が上向いていることがわかります。バケモノですね。 とくに7月29日から8月3日にかけた5試合(100試合目~104試合目)で2度も5安打を記録しています。当時、米国では「神がかっている」とすら表現されたほどです。 ところで、上2つのグラフは、いずれも折れ線グラフと言ってもいいでしょう。この見せ方をデジタルマーケティングで活かせると私は考えました。 時系列グラフ(折れ線グラフ)の見せ方を進化させる 「2004年シーズンの通算打率推移グラフ」はその試合時点での打率を表しています。 21試合目であればその時点で通算93打席計25安打、打率.269であり、101試合目であればその時点で通算445打席計153安打、打率.344です。 全く同じことを「あるバーチャルな広告施策の過去2年分の実績」で表現できないでしょうか。 21日目(2013年1月21日)であればその時点で通算2,770クリック計66CV、CVRは2.38%であり、101日目(2013年4月11日)であればその時点で通算13,497クリック計170CV、CVRは1.26%です。 このCVRの推移を折れ線グラフで表すと以下のようになります。...
2015.07.14
なぜ日本の総理大臣はコロコロ変わるのか?を統計学で考えてみた
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なぜ日本の総理大臣はコロコロ変わるのか?を統計学で考えてみた
  【文責】 松本 健太郎 事業企画室所属 マーケティングメトリックス研究所 所長 今回は、計量政治学(政治現象を統計学を使って分析する学問)に挑戦します。 2012年12月26日に発足した第2次安倍内閣以降、久しく言われなくなりましたが、昔から日本には「総理大臣がコロコロ変わり過ぎ」という批判が根強くあります。 94年には、細川首相、羽田首相、村山首相と1年で3人も総理大臣になる事態も起きました。 しかし結果だけを責めるのは簡単です。なぜ日本の総理大臣は短命なのか、機構に問題があるのか、制度に問題があるのか、原因を突き止めないと何も変わりません。 そこで今回は、日本の総理大臣が短命の理由を、統計学で分析してみたいと思います。 主要国首脳会議参加国と在任期間を比較してみる まず「日本の総理大臣はコロコロ変わり過ぎている」という批判は、的を得ているのかを調べてみます。 先進国の中でもリーダー的地位を占める主要国首脳会議参加国(G7)を対象に、その国の代表として参加している役職者の在任期間をまとめてみました。ドイツであれば首相、フランスであれば大統領になります。 この在任期間が日本の首相と比べて長いかどうかを見てみましょう。 対象期間は「1945年9月以降かつ現在運用している政治制度が定着して以降」とします。フランスの場合、第五共和政に移行した1958年以降が対象になります。 また、対象者は現職を除きます。期間を定義できないためです。ちなみに再登板の場合は在任期間を分けるのではなく、合算することとします。 したがって再登板組であり、かつ現職である安倍首相は対象外になります。 結果を箱ひげ図で表すと、以下の通りになりました。 日本の四分囲範囲(第1四分位数〜第3四分位数)が、どの国よりも短いことがわかりました。吉田首相、佐藤首相、中曽根首相、小泉首相が異常値として扱われるぐらいです。 たしかに日本の首相は短命で、他国と比べてもコロコロ変わっているようです。 似たような範囲を示しているのがイタリアです。 四分範囲はイタリアのほうが広いですが、中央値で見れば日本のほうが高く、イタリアも首相がコロコロ変わっていることが解るかと思います。 さらに、イタリアは再登板で首相になる確率が他国に比べて圧倒的に多く、内閣自体の存続期間で見れば日本より四分範囲が短くなります。 大統領制を採用しているアメリカやフランスは、長期政権になりやすい傾向のようです。よほどの事態で無い限り、任期途中の辞任が無いから、そりゃそうです。 ただ、日本やイタリアと同じ議院内閣制を採用していながら、イギリス、カナダ、ドイツも状況によってはかなりの長期政権が存在したことがわかります。 この差は何でしょうか? 調べてみると「二院制のあり方」で大きな違いがあることがわかりました。 イギリスやカナダの上院は限定的権限しかなく、ドイツの上院は州代表機関に過ぎません。上院の動向で首相の退陣に影響を与えることはありません。 いっぽうイタリアと日本は対等の二院制です。 特に日本では宇野首相、橋本首相が参院選敗退により退陣したり、衆参ねじれにより首相の指導力が低下して安倍首相、福田首相、菅首相が退陣したり、他国には無い理由で首相が交代しています。 これだけが短命内閣の理由だとは言えませんが、キッカケの1つだとは言えそうです。 では、直接選挙による大統領制に移行するか、衆議院の権限強化(あるいは参議院改革)を行えば、コロコロ変わることも無くなるのでしょうか? 少し短絡的な結論にも見えますので、次は「日本の首相が辞めた理由」について分析してみたいと思います。 日本の首相が辞めた理由を分類してみる 連合国軍占領から独立して日本が主権を回復した1952年4月28日から現在まで、49回内閣が組閣され29人が首相を務めました。 29人の首相の辞め際は様々ありましたが、その理由を分類してみると、首相がコロコロ変わる理由を掴めるかもしれません。 まず、29人の首相が辞めた理由を、幾つかの文献をもとに次のように分けてみました。 氏名 期間...
2015.06.16