統計学

統計学
コンテンツの評価はPVだけ?因子分析で新たな評価軸を探してみた
今回は、コンテンツの評価軸としてPV以外の新たな指標を探し求めたいと思います。 「contents is king」と言われる昨今ですが、どのように評価すればいいのか、各社のWEBマーケターが頭を悩ませていると思います。 PVなのか、滞在時間なのか、エンゲージメントなのか指標だらけで訳が分からなくなっています。(少なくとも私は) 昨今もWIREDで以下のような記事が掲載され、方々で話題を呼びました。 ◎ウェブ関係者よ、PVの話をするのはもう止めよう http://wired.jp/2016/01/03/page-views-dont-matter/ PVがダメだという話をするつもりは無く、PV以外の評価軸を因子分析というデータサイエンスで研究開発することに挑戦したいと思います。 因子分析とは何か? まず因子分析について簡単な説明をしておきます。 因子分析とは、簡単に言えば”目に見えない原因を浮かび上がらせる分析手法”です。因子という測定できない原因を測定するのが因子分析の目的と言ってもいいでしょう。 多変量解析の中でもかなりポピュラーな分析手法で、心理学関連の雑誌には因子分析を用いた論文がよく掲載されています。 例えば500人にアンケートをとって、夏の新商品ドリンクのコンセプトの参考にするとしましょう。 アンケートから人間の「欲求」という目に見えないものを因子として数字で表現し、どのデータ(変数)に影響を与えているかが分かるのが因子分析です。 簡単に絵で表すと、以下のようになります。 因子分析の説明 質問に対する回答の傾向から、その回答者らの考え方や価値観を数字で「見える化」するのが因子分析と言っていいでしょう。 今回の分析手法に因子分析を用いるのは、見えない考え方や価値観を測るためです。 もしWEBサイトに訪問しているユーザーの因子が、結果として計測できるメトリクスに影響を与えているとします。だとすれば、その因子を指標としたほうがよりユーザーインサイトに迫れるのではないでしょうか。 メトリクスはあくまで結果です。ユーザーの因子が何かが分かれば、そこに訴えるコンテンツを作れば必然的に良い結果に繋がるはずです。 そこで今回は当研究所の2015年08月24日〜2015年12月20日までの17週分、33本のコンテンツのメトリクス結果で因子分析を行い、ユーザーインサイトに迫りたいと思います。 週+記事タイトル単位にデータを用意 ※データはCONTENTSエビス、LOGエビスで計測したものを使用しています。 ※メトリクスはPV数、新規数、読了数、読了時間、共感数、拡散数の6つです。メトリクスの定義は以下の通りです。 メトリクス 定義 PV数 ブラウザにウェブサイト内のページが表示された回数。 新規数 SU数のうち、サイトに初めて訪れた訪問者数。 読了数...
2016.01.13

統計学
どの施策が効いたの?オウンドメディアの成長を「見える化」する
はじめまして。京都産業大学に通っている村松健太と申します。この秋からマメ研にインターンとして参加しています。 今回は第1回研究成果の発表を行いたいと思います。 「自社メディア(マメ研サイト)の成長度合いを見える化せよ!」というお題をいただきました。所長である松本さんからデータを貰ったので、次のような分析を行いました。 まずはプロットして「見える化」する 過去3年間分(2012/6/25~2015/9/30)のマメ研サイトのPV数をプロットしてみました。 ポイントは線で表現しない点です。ギザギザして非常に見づらくなると思ったからです。そこで、2012年6月25日からの経過日数での散布図を作成してみました。 2013年~2015年日毎PV数 マメ研のPV数が、ある点を境にして右肩上がりで伸びている事が解ります。 また、増加率が一気に伸びたのは2014年7月24日から2014年8月13日にかけてでした。 この周辺で起きた出来事を調べると、ロックオンは2014年8月11日に東京証券取引所マザーズ市場への上場承認を発表していました。 この上場発表を期にロックオンに注目が集まり、それに伴ってマメ研のPV数も増えたのではないか?と考えます。 季節変動を明らかにする 次に、季節変動を調べてみます。トレンドやシーズン性を知れば、どの時期に盛り上がるかが知れます。 この分析には、Rを使いました。 data <- read.csv(“mame.csv”); head(data); ts<-ts(data$mame_pv,start=c(2012,176),frequency=365); head(ts); stl <- stl(ts,s.window=”per”); plot(stl); 結果はこのようになっています。 Rでの分析結果 見方は、上から順番に、 data:元々のマメ研サイトのPV seasonal:周期的な季節傾向 trend:長期の変化傾向 random:data – seasonal...
2015.11.25

統計学
2015年大混戦セリーグをヤクルトが優勝できた理由
今回は、恒例になってきたセイバーメトリクス分析事例です。 2015年のセリーグ・プロ野球は、開幕前に誰も予想していなかった2年連続最下位のヤクルトが優勝するという結末を迎えました。 マメ研としては広島の優勝を予想していまし、その予想を掲げる野球解説者も多くいましたが、残念ながら4位という結果で終えています。 1位から4位までゲーム差6.5という稀に見る大混戦を抜け出したヤクルトの何が凄かったのか?について、詳細に分析したいと思います。 ピタゴラス勝率で考える各チームの傾向 大接戦だったセリーグを、セイバーメトリクス的観点で分析していきます。まず、様々な指標を開発してきたビル・ジェームスの手によって生み出された「ピタゴラス勝率」を用います。 ピタゴラス勝率は、得点と失点からチームの勝率を予想します。チームの実際の勝率とピタゴラス勝率を比較することで、運と偶然によって手にした勝利も浮かび上がると言われています。 計算式はピタゴラス勝率のリンク先を参考にしてください。 さて、式に当てはめると、以下のような結果となりました。 球団 得点 失点 勝利 敗北 勝率 ピタゴラス勝率 swallows 574 518 76 65 0.539 0.551 giants 489 443 75 67 0.528 0.549 tigers 465 598 70 71 0.496 0.377...
2015.11.09

統計学
国勢調査のデータで日本がヤバさがわかる4つのインフォグラフィック
現在行われている平成27年国勢調査を応援する意味も込めて、今回は過去100年分の国勢調査結果に触れることでどのような考察を得られるかについて調べてみました。 ただ数字を表に落とし込むだけならともかく、tableauを用いて伝えたい点をしっかり表現するインフォグラフィックスに挑戦していきたいと思います。 ※ちなみにこのコンテンツはTableau社の記事広告ではありません!念のため! そもそも国勢調査とは? 国勢調査とは、国のもっとも重要かつ基本的な全数調査であり、その始まりは1920年と長い歴史があります。5年ごとに行われており、2015年の今年はちょうど20回目にあたります。 そもそも、なぜ国勢調査が行われるようになったのか等の背景については、以前まとめた報告内容(「今年流行間違いなし!?今のうちに知っておきたい「オープンデータ」について簡単に纏めてみた」 や「「統計学」の始まりと、長いようで短い歴史について」)に詳しく記載しているので、詳細は省きます。 日本国内に住む全ての人を対象とする全数調査のため、その調査結果は官庁だけでなく民間にも幅広く用いられています。 例えば地方交付税の配分や衆議院議院選挙区の画定基準などは国勢調査の結果に基づいて策定されますし、意外と知られていませんが企業の大型店舗出店計画などは国勢調査のデータを参照しています。 その他様々な統計資料を作成するための基盤データとしても用いられており、日頃からオープンデータの恩恵を受けている人間からすれば、こんなにありがたいデータは無いのです。 ちなみに国勢調査の結果はこちらから確認することができます。 国勢調査の内容は、人口、世帯、産業構造などで構成されていますが、今回は「人口」に関するデータを中心に取り上げ、いかに国勢調査が大切かを訴えたいと思います。 2005年12月に総務省統計局が19回国勢調査の速報値を公表した際に「1年前の推計人口に比べ2万人の減少、我が国の人口は減少局面に入りつつあると見られる」と発表し、人口減少社会という言葉が注目を浴びました。 かねてからの少子化、高齢化、そして人口減少と、日本はいま三重苦に覆われています。このまま深刻な状況が進めば、全国に1万以上あると言われる「限界集落」は「終了集落」になりかねません。 こうした問題に適切な対策を執ることも1つの安全保障対策だと思うのですが、国政にしても地方行政にしても、またマスメディアの動きにしてもまだまだ鈍いと言われています。 そこで、日本の少子化、高齢化、人口減少が急速に進んでいることがわかる4つのグラフを紹介したいと思います。 約100年、どの都道府県で人口は増えたのか? 1920年から2010年までの19回分のデータをtableauに読み込ませます。総務省が公表しているデータは都道府県毎に整理されているので、tableauでの表記も「色塗りマップ」を使うことにします。 0人から100万単位で色が変わっていくものとし、中央値は200万としました。人口0人〜200万未満の都道府県は青く塗られ、人口200万以上の都道府県は赤く塗られることになります。その色が濃くなるほど、中央値との乖離が激しいことをあらわしています。 その結果は以下の通りでした。1920年からの移り変わりをご確認ください。 いくつかの注目ポイントがあります。 1つ目。現在も大都市である北海道、東京、愛知、大阪、兵庫、福岡各都道府県が1920年の段階でも十分に大都市であるということです。大都市は1日にして成らず、ということですね。約100年間、一貫して大都市であったことがわかります。 2つ目。その逆で、現在も人口が少ない山梨、福井、鳥取、島根、徳島、香川、佐賀各県は1920年の段階から一貫して100万未満であったことがわかります。山間部も多く、もともと人が住みやすい土地も少ないのでは無いか?と勝手に推測しています。 3つ目。1945年ごろまで大都市に人口が集中しているように見えますが、以降は各地で人口200万以上の県が発生する「人口爆発」が起きています。しかしよく見てみると、それは主に東日本が中心で、西日本では京都と広島でしか発生していません。その理由については学術的な研究がなされていそうなので、深追いは止めておきます。 時系列で見ると東京への一極集中がいかに進んでいるかがよくわかります。1980年ごろから東京のまわりに一層、人口が増えているように見えます。 東京と隣接している山梨の人口が一向に増えないのは23区内から離れているからだと思います。リニア中央新幹線で山梨が県をあげて盛り上がっている理由も、ここにあると見て間違いないでしょう。 人口減少、どの都道府県がもっとも深刻か? 先ほどの人口推移は、人口の多さはわかりますが人口の増減具合まではわかりません。 東北、山陰、四国、九州各地方の色は100年間ずっと青色(200万未満都市)でしたが、それが維持されているのか、それとも減り続けているのかが見えないのです。 そこで、前回調査結果と今回調査結果を比較し、どれほど増減しているかを集計してみました。 -15%から15%の中で3%単位で色が変わっていくものとし、中央値は0%としました。0%未満の都道府県は青く塗られ、0%以上の都道府県は赤く塗られることになります。その色が濃くなるほど、中央値との乖離が激しいことをあらわしています。 その結果は以下の通りでした。1925年からの移り変わりをご確認ください。 ...
2015.09.29

統計学
セ・パ交流戦廃止の危機!行く末を握るのはソフトバンクだ!
今回は、久しぶりのセイバーメトリクスです。今回のテーマは交流戦、ずばり来年以降も交流戦を続けるべきかを分析したいと思います。 2015年7月3日、史上初めて同じリーグ(今回はセ・リーグ)の6球団すべてが負け越すという悪夢が実現しました。 交流戦で、セ・リーグの球団がパ・リーグの球団に負けに負けたからです。セパのチーム同士が戦う交流戦が2005年に始まって以降、いつかはこうした事態が起こると思われていました。 試合数が半減された今年に限って起きたため、さらに交流戦不要論の声が高まっています。来年で終わりだと言う識者もいるほどです。 しかし、交流戦は2004年に起きたプロ野球再編問題をキッカケに誕生した「新たな希望」だったはずです。球団すべてが負け越したぐらいで、交流戦を終えていいのでしょうか? 何のための交流戦か?を定義する プロ野球は他に様々あるプロスポーツと同じく、球団同士で試合を行うことで観客から入場料を徴収して「興行」を成り立たせています。 入場料の他にもテレビやラジオでの試合中継による放映権料、グッズ売上、球場での飲食費などが12球団にとって収入源と言えます。 もっとも、巨人や阪神のような人気球団を除けば、どの球団も年間20億〜40億程度の赤字だと言われています。球団の親会社が、その赤字分を広告宣伝費として補填しているからこそ、なんとか球団運営ができているという現状もあります。 2004年に起きた球団再編問題も、近鉄バファローズの親会社である近畿日本鉄道が1兆3000億円に達した有利子負債の削減策を実行する中で、維持費年間40億円とも言われる球団保有の是非が問われたことが発端になっています。 球団再編問題を受けて2005年から始まった交流戦は、当初は近鉄とオリックスの合併によりセ6球団・パ5球団となることの不均衡を補うものとして発案されました。しかし上記のような背景から、いつしか赤字球団の多いパ・リーグを人気球団が多いセ・リーグが救うことが陰の目的となっている部分もあります。 それ自体が良いか悪いかは置いておいて、これで分析軸はハッキリしました。 来年以降も交流戦を続けるべきかどうかが観点であれば、交流戦によってパ・リーグ主催の試合で集客数が増えているかを、まずは見ればいいのです。 交流戦で集客「率」は上がっているのか? 集客を「数」で見るとミスリードを起こします。なぜなら収容人数は球場によって違うからです。 一番大きい箱は甲子園球場で47,451人、一番小さい箱は宮城球場で25,723人、12球場の収容人数の標準偏差は約5840近くあります。よって1試合あたりの集客「率」(試合の集客数÷その球場の収容人数)で分析を行いたいと思います。 また、今回は分析期間を2015年の開幕からオールスター戦までを対象としました。2014年以前は交流戦の試合数が多くて一概に比較できないのと、なるべく「現状」によってのみ仮説を立てるためです。 まず、セパ両リーグの集客率(同一リーグでの試合のみ対象)を箱ひげ図で表してみました。その結果は以下の通りです。 図1:セパ両リーグの集客率(同一リーグでの試合のみ対象) セ・リーグの集客率の中央値が約88.48%なのに対して、パ・リーグは約72.85%と15%も違います。セ・リーグの集客率の下位四分位(25%)が約71.41%ですから、いかにパ・リーグが集客に苦戦しているかがわかります。 ちなみに外れ値が4試合ありますが、いずれも東京ヤクルト主催試合です…。 次に交流戦でのセ・パ両リーグの集客率で、箱ひげ図を作成してみました。その結果は以下の通りです。 図2:交流戦でのセ・パ両リーグの集客率 パ・リーグの集客率が劇的に改善しているように見えます。中央値は約84.00%と+11.15%です。一方でセ・リーグの中央値は約80.96%と−約7.52%という結果になりました。 この結果だけを見ると、2つのことが言えるかと思います。 1つ目。プロ野球全体で見て、通常の試合より交流戦のほうが集客できているということです。 2つ目。通常より集客率が高い交流戦は「人気のセが赤字のパを救う」という表現で間違っていないですし、交流戦の(陰の)目的は達成しているということです。 一方で、これはセ・リーグにとっては旨味の無い話です。自社の売上を「救済」の名の下に他社に割り当てるというのは、社会主義のようにも思えます。 このままでは早晩に交流戦が廃止される可能性があるのではないでしょうか。 もう少し数字で表現していきます。...
2015.09.14

統計学
マーケティング指標の表現は簡単な時系列グラフしかないのか?
今回は、CVRやCTR、CPAなどデジタルマーケティング指標の「表現形態」について、考えてみたいと思います。 もっともメジャーな形態は時系列グラフ(折れ線グラフ)です。 多くの場面で使われていますが、ちょっとした弱点を抱えていることはあまり知られていません。まずは、その点についてお話をさせてください。 「単純」な時系列グラフの限界と弱点 とあるバーチャルな広告施策の過去2年分の実績がここにあります。クリック数、CV件数、そしてCVR。これらの時系列データで構成されています。 このデータから導き出せることは何でしょうか。 まず、多くの人が折れ線グラフを作成すると思います。時間毎の推移を見ることで、傾向が明らかにできます。 ちなみに日毎のCVRは以下のようになりました。 図1:2013年~2014年日毎CVR 特定の日にちだけ突出してCVRが高いことがわかります。しかし、わかるのはそれぐらいではないでしょうか。 例えば広告クリック後のCVの多くが日を跨いでいる場合、日単位のCVRにはあまり意味がありません。日毎CVRのみで傾向を把握するのは危険です。 そこで週毎、あるいは月毎のCVRグラフを表現するという方法が考えられます。 そうなると、今度は突出して多い日がわからなくなります。そもそも○毎のデータとは集計軸の中のデータの起伏を無くすための手法です。週毎で見るとなると、1週間の中のデータを起伏がならされてしまいます。 結局、日毎、週毎の折れ線グラフを見比べながら、仮説を構築していくことになります。 もしかしたら「この程度の時系列データではこんなもんだ」と思われていませんか? いえいえ、決してそんなことはありません。時系列データには様々なポテンシャルがあります。 年間最多安打記録を達成した2004年のイチローの成績から考える 時系列データのポテンシャルを知るために、野球の「数字の見せ方」を参考にしたいと思います。 2004年、イチローはMLB年間最多安打記録を破り、262安打という金字塔を打ち立てました。年間成績は704打席262安打24二塁打5三塁打8本塁打60打点、打率.372という成績でした。 彼のシーズンでの打率の推移を表現すると、以下のようになります。 80試合(6月)頃に落ち込み始めた打率も、夏以降に再び上昇し、その勢いのままシーズンを終えていることがわかります。 シーズンを通した好・不調を知るために、直近10試合での打率の推移を見てみましょう。以下のようになります。 10打席で2本のヒットしか出なかった状態から、夏以降は10打席で6本もヒットを打つほどに調子が上向いていることがわかります。バケモノですね。 とくに7月29日から8月3日にかけた5試合(100試合目~104試合目)で2度も5安打を記録しています。当時、米国では「神がかっている」とすら表現されたほどです。 ところで、上2つのグラフは、いずれも折れ線グラフと言ってもいいでしょう。この見せ方をデジタルマーケティングで活かせると私は考えました。 時系列グラフ(折れ線グラフ)の見せ方を進化させる 「2004年シーズンの通算打率推移グラフ」はその試合時点での打率を表しています。 21試合目であればその時点で通算93打席計25安打、打率.269であり、101試合目であればその時点で通算445打席計153安打、打率.344です。 全く同じことを「あるバーチャルな広告施策の過去2年分の実績」で表現できないでしょうか。 21日目(2013年1月21日)であればその時点で通算2,770クリック計66CV、CVRは2.38%であり、101日目(2013年4月11日)であればその時点で通算13,497クリック計170CV、CVRは1.26%です。...
2015.07.14

統計学
伊勢志摩サミット記念!G7各国と比べて日本の総理大臣がすぐ変わる理由
2016年は日本の伊勢志摩でG7サミットが開催されます。 それを記念して、「政治」を扱ったデータ分析手法である計量政治(政治現象を統計学を使って分析)に挑戦したいと思います。 2012年12月26日に発足した第2次安倍内閣以降、久しく言われなくなりましたが、昔から日本には「総理大臣がコロコロ変わり過ぎ」という批判が根強くあります。 94年には、細川首相、羽田首相、村山首相と1年で3人も総理大臣になる事態も起きました。 毎年首相がコロコロ変わり、G7サミットで同じ顔ぶれが続いた試しがない!という声もありますね。 しかし結果だけを責めるのは簡単です。なぜ日本の総理大臣は短命なのか、機構に問題があるのか、制度に問題があるのか、原因を突き止めないと何も変わりません。 そこで今回は、日本の総理大臣が短命の理由を、統計学で分析してみたいと思います。 主要国首脳会議参加国と在任期間を比較してみる まず「日本の総理大臣はコロコロ変わり過ぎている」という批判は、的を得ているのかを調べてみます。 G7を比較対象に、その国の代表として参加している役職者の在任期間をまとめてみました。ドイツであれば首相、フランスであれば大統領になります。 この在任期間が日本の首相と比べて長いかどうかを見てみましょう。 対象期間は「1945年9月以降かつ現在運用している政治制度が定着して以降」とします。フランスの場合、第五共和政に移行した1958年以降が対象になります。 また、対象者は現職を除きます。期間を定義できないためです。ちなみに再登板の場合は在任期間を分けるのではなく、合算することとします。 したがって再登板組であり、かつ現職である安倍首相は対象外になります。 結果を箱ひげ図で表すと、以下の通りになりました。 日本の四分囲範囲(第1四分位数〜第3四分位数)が、どの国よりも短いことがわかりました。吉田首相、佐藤首相、中曽根首相、小泉首相が異常値として扱われるぐらいです。 たしかに日本の首相は短命で、他国と比べてもコロコロ変わっているようです。 似たような範囲を示しているのがイタリアです。 四分範囲はイタリアのほうが広いですが、中央値で見れば日本のほうが高く、イタリアも首相がコロコロ変わっていることが解るかと思います。 さらに、イタリアは再登板で首相になる確率が他国に比べて圧倒的に多く、内閣自体の存続期間で見れば日本より四分範囲が短くなります。 大統領制を採用しているアメリカやフランスは、長期政権になりやすい傾向のようです。よほどの事態で無い限り、任期途中の辞任が無いから、そりゃそうです。 ただ、日本やイタリアと同じ議院内閣制を採用していながら、イギリス、カナダ、ドイツも状況によってはかなりの長期政権が存在したことがわかります。 この差は何でしょうか? 調べてみると「二院制のあり方」で大きな違いがあることがわかりました。 イギリスやカナダの上院は限定的権限しかなく、ドイツの上院は州代表機関に過ぎません。上院の動向で首相の退陣に影響を与えることはありません。 いっぽうイタリアと日本は対等の二院制です。 特に日本では宇野首相、橋本首相が参院選敗退により退陣したり、衆参ねじれにより首相の指導力が低下して安倍首相、福田首相、菅首相が退陣したり、他国には無い理由で首相が交代しています。 これだけが短命内閣の理由だとは言えませんが、キッカケの1つだとは言えそうです。 では、直接選挙による大統領制に移行するか、衆議院の権限強化(あるいは参議院改革)を行えば、コロコロ変わることも無くなるのでしょうか?...
2015.06.16

統計学
究極指標「WAR」を使って給料の安いプロ野球団を分析してみた
今回は、大好評に続き第2弾!セイバーメトリクスです。 年功序列関係なく、打って走って守れる選手が活躍するプロ野球は「実力主義」の世界だと言われています。 スターティングメンバ―として出場して活躍する機会が多いほど、給料は上がります。南海ホークスの監督を勤めた鶴岡一人氏は「グラウンドにはゼニが落ちている」と表現したほどです。 ただ、どのグラウンドにもまんべんなく「ゼニ」が落ちているとは思えません。同じ業界でも、企業規模に応じて初任給もボーナス額も違う、というのはよくある話です。同じ成績を残しても、球団によってグラウンドに落ちている「ゼニ」の額は違うのではないか、という仮説を私はもっています。 良い成績を残したのに年収が思ったより増えないプロ野球選手が、契約更新後に他球団の動向をネットでチェックしていて「ちくしょう!転職(FA)だ!」と叫んでいるかもしれません。 というわけで今回は私の仮説は当たっているのか、どの球団から叫び声が上がっていそうかを分析します。 プロ野球選手の成績を総合的に評価することはできるのか? 成績と年収が比例しているかを分析する前に、まず、どの成績と比較すればいいかを考えます。 打点だとすれば投手が不利ですし、勝利投手権利は野手に無縁です。あらゆるメトリクスで重回帰分析をするにしても、説明変数が多過ぎる気がします。 走攻守投の能力をシンプルに1つの数字で表現できないものか。 調べてみたところ、「WAR」(Wins Above Replacement:勝利数代替水準対比)というメトリクスがメジャーリーグで親しまれていることを知りました。 WARとは、走攻守投の貢献度を総合的に評価する指標です。「代替」という名前の通り、故障などで試合に出られない場合に出場する代替の選手と比較して、どれだけチームの勝利数を増やしたかを表します。 例えば、ある選手のWARが「3.0」だった場合、その選手が出場する場合と、代替の平均的な選手が出場する場合とを比較すると、前者のほうがチームの勝利数は3つ増えることを表しています。 ちなみに2014年のWARランキングTOP10は以下の通りです。 WARはヒトケタ台の数字だと思ってください。過去3年間で最も高い数字は、阿部選手(巨人)が2012年に叩き出した「9.7」でした。阿部選手が試合に出るだけで約10勝分の価値があるということです。そりゃ、巨人が三連覇するわけです。 WARを用いることの最大のメリットは、シンプルに1つの数字のみで選手の貢献を把握できることです。代替の平均的な選手との比較という考え方に立っているので、野手と投手を比較することもできます。 この意味で、究極の評価指標とも言われています。 デメリットとしては2つあります。1つは、代替の平均的な選手との比較なので、WARの値がマイナスになることもあります。「チームの勝利数がマイナス2つ増える(=2つ減る)」というのは論理的に考えると少し違和感を覚えるところがあります。 もう1つは正式な決まった計算式が無いことです。アメリカの各研究機関でも、独自にチューニングした計算式に基づいてWARを算出しているため、発表元によって数字が微妙に異なることがあります。それだけ発展中の指標だということです。 そこで、「セイバー・メトリクスリポート」に記載されているWAR(2012年~2014年分)を「正」として、WARと年収が比例しているかを分析してみたいと思います。 また今回の記事は、WARの詳細な内容を明らかにすることではなく、成績に連動して年収が増えているかを明らかにすることなので、WARを算出する計算式は割愛します。WARを用いれば、たった1つの数字のみで選手の成績を表現できる、という前提で話を進めます。 成績(WAR)と年収は比例しているのか? まずは、各プロ野球選手の2014年におけるWARと2015年における年収を散布図で表現します。 さらに、散布図に回帰直線を引いてみます。2014年のWARを説明変数(原因)、2015年の年収を目的変数(結果)とします。 ちなみに対象になるのは2年目以降の選手かつ1軍の試合に出場した選手、571人です。1年目の選手(例えばルーキーや新人外国人選手)や2015年に日本プロ野球に復活した選手(例えば広島の黒田選手)は対象外です。 結果は以下の通りです。 WARは0を中心にして右に広がり、右に行くほど年収が上がっていることが解ります。相関係数は0.56と、それほど悪くはありません。また単回帰分析の結果、2015年の年収は、2014年のWARが1増える毎に2965万増えることが解りました。 ただし、表を見てみると、WARが高いほど回帰直線との残差(二変量の観測値と回帰式の距離)は広がるばかりに見えます。 一番残差が高かった巨人の阿部選手(2014年WAR:2.9、2015年年収:51,000万)や、最も高いWARを残したヤクルトの山田選手(2014年WAR:7.9、2015年年収:8,000万)などが良い例です。...
2015.06.02

統計学
阪神タイガースが2015年セ・リーグを制覇するのか分析してみた
球春到来!プロ野球がもうすぐ開幕しますね。 去年は37年ぶりに2年連続同じ順位で終わったセリーグですが、今年は我らが阪神タイガースは優勝することができるのか、今からソワソワしています。 悩む前に動く、ということでセイバーメトリクスを用いて我らが阪神タイガースが優勝する可能性を調べてみました。 セイバーメトリクスとは? 統計学的見地から客観的に分析して選手の評価やゲームの戦略を考える分析手法。映画「マネー・ボール」以降、市民権を獲得しました。MLBの公式記録項目の幾つかはセイバーメトリクスに基づく指標が用いられています。 何勝すれば優勝するのか?(箱ひげ図編) 阪神タイガースが今年優勝するのかを考える前に、そもそも優勝とは何かを定義しましょう。というのも、単純に勝利数だけで見てはいけないからです。 プロ野球とは、決められた試合数を闘い、その年で一番高い勝率を得たチームが優勝フラッグを手にできるゲームです(2001年は例外的に勝ち星の多い順になりました)。 例えば2010年。読売ジャイアンツと同じ勝利数79でありながら勝率で上回る中日ドラゴンズが優勝し、勝利数は1つ少ない78でありながら勝率で上回る阪神タイガースが2位という結果に終わりました。 つまり、重要なことは「負けないこと」なのです。負ければ勝率が下がりますが、引き分ければ関係なくなります。プロ野球とは、勝たなければならないのではなく、負けてはならないゲームなのです。 さらに複雑(ゲーム性を高める点)なのが、勝率は絶対基準ではなく相対基準ということです。その年で一番高い勝率を得たチームが優勝だと言いましたが、言い換えると翌年に同じ勝率だったとしても2位で終わることがあるのです。 例えば2014年。読売ジャイアンツは82勝61敗1分、勝率0.573で優勝しました。 しかし、過去10年で言えば2012年の中日ドラゴンズ(75勝53敗16分、勝率0.586)、2008年の阪神タイガース(82勝59敗3分、勝率0.582)、2006年の阪神タイガース(84勝58敗4分、勝率0.592)は、勝率0.573を上回っているのに2位で終えています。 過去10年分の順位毎の勝率を箱ひげ図で表現すると、よく解ります。 プロ野球選手の平均選手寿命が約9年なので、それにプラス1年を足して過去10年分としました。プロ野球創設期からのデータ等を含めると平均化され過ぎて、現在の傾向が現れません。 1位と2位の差は、驚くほど少ないことが解ります。 過去10年、最も低い勝率で優勝したのは2007年の読売ジャイアンツ(80勝63敗1分、勝率0.559)でした。この勝率を上回って2位で終わったチームは、過去10年間で4回もあります。 つまり、その年のチーム構成が凄く良く、ホームラン王や最優秀勝利投手といった賞を獲得した選手がいたとしても、相対的に見て2位に終わることはあるということです。 結局、何勝すればいいかですが、勝率箱ひげ図を見るとある特徴が解ります。それは、各順位の最小値と最大値は、それぞれ前後の順位の中央値前後に位置していることです。 言い換えると、2位の最大級の頑張りは、1位にとっては当たり前だということです。そこで、2位の最高勝率に+0.01すれば、優勝すると考えてもいいのではないでしょうか。 その「数字」は勝率0.593、85勝。名将・落合博満も自著で「85勝基準」と言っていたので、結構ベタな数字が出てきましたね。 では、優勝するために、言い換えると85試合勝つために何が必要なのかを次に考えます。 勝利数に関係がありそうなメトリックスは何か?(相関係数編) 勝つために必要なことは、相手以上に得点を叩き出すことです。 ただし相手を0点に抑えていれば1点だろうが10点だろうが勝ちは勝ち、です。つまり得失点差と勝ち星が必ずしも紐付くとは限らないのです。 実際、2011年の東京ヤクルトスワローズは得点484、失点504、得失点差-20ながら2位でシーズンを終了しました。3位に終わった読売ジャイアンツは得点471、失点417、得失点差+54もあるにもかかわらず、です。 つまり、得失点を見るのではなく、勝利数自体に関係するメトリクスを探す必要があります。 過去10年間分の各球団の1年を通した実績を参考にして、相関(相関係数)を見てみましょう。相関係数は少しでもあれば何か関係があると見做して、「±0.2以上」を叩き出したメトリクスを探しました。 このメトリクスをもって次の分析に進みたいところですが、ふと思い出したのが「飛ばないボール問題」です。...
2015.03.10

統計学
Gizmodoの記事はどれだけ人の心を動かしたか?を分析してみた!
メディアの見えない価値を評価する! ガジェット情報満載ブログのGizmodo(http://www.gizmodo.jp/)。 遊び心満載の読者目線で伝えられる記事は思わず見入ってしまうものです。 個人的にも好きでよく見るのですが、例えば、商品紹介を見たユーザーは実際にどれだけ影響を受け、態度変容を起こし、購買行動に影響を及ぼしているのでしょうか? 基本的にこういったメディアの記事広告など、効果測定が行われていないわけですが、広告効果測定ツール「アドエビス」の機能を利用することにより、それが可能になります。 そんなわけで、Gizmodoの記事は実際に「どれだけ消費者の購買行動に影響しているのか?」について分析してみました。 まず分析の方法は下記の通り。 この方法により当然、見えていなかったCV数を可視化することも可能になりますが、それらを含め、今まで見えなかった下記の情報を得ることができます。 以上のようなデータを見ることによって、ビュースルーコンバージョンだけではなく、記事広告を見たことによる態度変容までを可視化することができます。 まずはビュースルー(記事を見た読者の)CV数を分析してみた! 右記はコストが発生したリスティングや広告バナーのCV割合ですが、なんと全体の36%をGizmodo記事広告が占める結果となりました。 ※上記は直接効果であり、CVに至る直前に接触したメディアを対象としています。 続いてコンバージョンパスを分析してみた! 先程は広告の直接効果のみでしたが、今度は自然検索&間接効果を含めたCVパスです。 自然検索を含めても全体の25%がGizmodoの記事を読んだ読者でした。 その25%のうち7割が記事を見た後、別の広告に接触することなく記事広告のリンクからCVに至っており、3割が別の広告をクリックしたユーザーor記事を見たことによりクリックさせたという結果になっています。 ちなみに、記事を見たあとの自然検索CV(2%)は全て「商品名」で検索がおこなわれており、その結果だけ見てもGizmodoの記事が商品を記憶させ態度変容を起こした可能性があるということになります。 ちなみに、コンバージョンパスをさらに細分化して上記のような図に置き換えると、メディアプランの参考としてわかりやすいです。 ※縦軸はCVの直前広告、横軸はアシスト広告。マスの色は関係性の濃さ=アシスト数 … この枠内のバナーBは数多くのCVをアシストしています。 これを外すことは色の塗られたマス分のCVが減ってしまう可能性があります。 … 直接効果(刈り取り)は得意ですが、アシストが苦手で周囲に助けられています。 … この枠内のGizmodoの記事広告は前述でも述べたように、 7割が単独CVなので比較的、自己完結の傾向があると言えます。 最後に期間別(日別)で分析してみた! Gizmodoの記事広告が公開されてから30日間のビュー(広告はクリック)とCVとの相関をグラフにしました。 当然、公開日に記事広告のビューが増えますが、その後も継続してCVが上がります。 記事広告の公開後のビューは、その他広告とのクリック数と比較すると約1/15にも関わらず、コンスタントにCVを確保し、結果、CVRはその他の広告の6.2倍になりました。 この結果から、記事の親和性・読者のエンゲージメントの高さが想定でき、公開後も成果を上げていることが分かります。 まとめ 今回の分析により、Gizmodoの「見えていない効果」は予想以上に大きかったと言えます。 当然、商品やサービスの相性もあるので全てが同等の結果が出るようなことは無いのかもしれませんが、それにしても非常に効果的な記事広告であったと言えると思います。 また、実は今回の分析はGizmodoを運営する株式会社メディアジーンの方からお声掛けいただき、実施に至った経緯があります。個人的にはココが一番のイノベーションでした。 メディアは第三者からの効果測定・効果開示を避けたがるもの(というイメージ)でしたが、まさかメディア側から「効果を測って可視化してほしい」と言われるとは思いませんでした。(実際、以前同様の企画を媒体社に何社か持ち込んで断られたりしました…) アトリビューションという考え方が浸透し始めて、それを可視化する動きも活発になっていますが、媒体は記事広告や自媒体ならではのコンテンツ・バナー等、その他広告とはまた違った影響を読者に与え、態度変容を生み、消費活動を活発にさせていると思うのです。 そのことを勇気を持って実践してくれたメディアジーン社に感謝するとともに、今後こういったことを実践する媒体社が増えることが、業界の更なる発展につながると信じています。
2012.08.31